抹茶の有効成分

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食品はその機能面から1次機能(栄養機能)、2次機能(感覚機能)、3次機能(体調節機能)として捉えて提唱されています。

抹茶の機能性別分類

1次機能(栄養性)
ビタミン: ビタミンC、ビタミンE、プロビタミンA(β-カロチン)など
ミネラル: カリウム、リン、微量必須元素など

2次機能(嗜好性)
味: テアニン、遊離アミノ酸(うま味)、カテキン(渋味)、カフェイン(苦味)
香気:テルペン、アルコール、カルボニール、エステルなどの精油
色: フラボノール、テアフラビンほかカテキン酸化物、クロロフィル

3次機能(体調節性)
ポリフェノール(カテキン、カテキン酸化物、フラボノール)、カフェイン、ヘテロ多糖
抗酸化ビタミン(ビタミンC、ビタミンE、β-カロチン)、γ-アミノ酪酸、サボニン
微量必須元素(亜鉛、マンガン、フッ素、セレンなど)

各機能性の特性

カテキン類

茶では、従来、タンニンといわれてきました。

タンニンとは、皮をなめす作用のある植物成分に与えられた名称ですが、カテキンは、化学的に一定の構造をもつものの名称です。茶葉に含まれるタンニンの85%以上が、カテキンに属する物質ですので、茶では、タンニンといえば、カテキンのことであるといっても、ほとんど同じということもできます。

カテキンには苦渋味があり、緑茶の味のベースになっています。茶葉には、10~20%程度含まれており、茶の水溶性成分の中で、最も含有量が多い物質です。

10種程度のカテキンが存在しますが、通常、エピガロカテキンガレートが最も多く、約半分を占め、ついで、エピガロカテキンかエピカテキンガレートが多く、さらに、エピカテキンとなります。

紅茶では、製造工程中に、カテキンが酵素により酸化・重合されて、紅茶特有の美しい橙赤色の物質に変わります。

日本茶の味にとっては、カテキンとアミノ酸の調和が重要視され、カテキンが多すぎることは苦渋味が強くなるため好ましくありませんが、紅茶では多いほうがよいとされます。

カテキンは、緑茶や紅茶の品質にとって重要であるだけでなく、最近、抗酸化、抗ガン、抗動脈硬化、血圧上昇抑制、抗菌、抗虫歯、抗アレルギー、消臭などの機能性があることが実証され、茶の保健性の中核になるものと目されています。

カフェイン

茶が、多年にわたり、人類によって飲まれ続けられてきた根元になる物質で、茶とともに嗜好飲料の双璧とされるコーヒーにも含まれています。化学的には、プリン塩基の一つで、茶には、その仲間であるテオブロミンとテオフィリンも少量含まれています。

興奮、覚醒、利尿などの生理効果があり、茶を飲用した時気分が爽快になり、また、疲労が回復されるのは、この物質の作用によると考えられています。

茶中に存在することは、1827年、イギリスのウードリーによって、始めて発見され、最初、茶素(ティン)と名付けられましたが、その後、1820年にスイスのルンゲがコーヒーから見付けていたカフェインと同一の物質であることが判明しました。

茶葉中には、通常2~4%程度含まれています。苦味をもつ物質で、当然、茶の味への影響があるものと考えられますが、1番茶と2、3番茶で含有量が、ほとんど変わらないため、煎茶の味の良否との関係については、今まであまり研究されていません。

紅茶の浸出液が冷えるに従って、乳濁してくる現象をクリームダウンといいますが、これは、カフェインとタンニンが複合体をつくって不溶化するためと考えられています。

茶を飲んで眠れないことなどのないように、子供や老人などを対象にして低カフェイン茶も製造されています。

抗酸化ビタミン

活性酸素の働きを抑える作用を持つビタミンのこと。ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなど。

活性酸素の働きを抑える抗酸化作用を持つビタミンのことを指します。活性酸素は動脈硬化を起こしやすくする過酸化脂質を作り出したり、がん・老化・免疫機能の低下などを引き起こします。

人間の身体は本来、酵素によって活性酸素を抑える働きが備わっていますが、年齢を重ねるとともに体内で作られる酵素の量は減少していきます。抗酸化ビタミンは、酵素によって処理しきれない活性酸素の働きを抑える抗酸化物質のひとつとして注目されています。

ビタミンAは食品中にβ-カロテン(カロテノイドの一種)として多く含まれますが、このβ-カロテンには活性酸素の発生を抑え、取り除く働きがあります。ビタミンEは抗酸化作用のほか、細胞内に過酸化脂質が作られるのを抑える働きがあります。ビタミンCもまた過酸化脂質の生成を抑える働きを持っています。このほか「ビタミン様作用物質」と呼ばれ、厳密にはビタミンとは区別されるものの中にも、コエンザイムQ10など抗酸化作用を持つものがあります。

γ-アミノ酪酸(GABA)

GABAはgamma-aminobutylic acidの頭文字をとったもので、「ギャバ」と呼ばれています。1950年に哺乳類の脳から発見された、たんぱく質を構成しないアミノ酸の一種です。その後の研究で動植物界に広く分布していることがわかっています。高等動物においては、抑制性の神経伝達物質として機能していることが知られています。また、脳機能改善効果や高めの血圧を改善する作用なども認められており、これを利用した医薬品・食品も開発されています。 

 血圧は交感神経の活動が高まると上昇しますが、GABAはこの交感神経の亢進を抑え、血管の収縮に働くノルアドレナリンの分泌を抑えることにより血圧を低下させることが考えられています。GABAを産生する能力を持つ乳酸菌を利用して調製された発酵乳製品は、血圧が高めの方に適した「特定保健用食品」として承認されています。

サボニン

種々の植物中に広く分布する配糖体(糖と糖でない分子が結合したものです)の一群で、せっけんのように著しく泡立つコロイド水溶液をつくるものの総称です。

代表的なものに、大豆サポニン、ビートサポニン、ほうれん草のサポニンなどがあります。

サポニンを含む植物は、旧くから鎮咳、去痰剤、あるいは、洗浄剤、起泡剤として使われ、日本でも「古事記」や「万葉集」に「さいかち」を洗剤として使用したことが書かれています。

茶種子には、サポニンが多量に含まれていますが、1901年、Wellの研究以来、多くの人々によって研究が行われています。また、ティーサポニンといわれて、界面活性剤(乳化剤)として、写真工業で利用されていました。茶種子には、十数%程度含まれていると推測され、害虫のナミ

ハダニの密度抑制、海洋付着生物のフジツボに対する忌避効果などの生物活性があることが報告されています。

茶の葉に含まれるサポニンは、少量であり、1938年、町田が緑茶から結晶として得たと報告しているだけでしたが、1971年、橋爪により、種子とは違う構造のものであること、強いえぐ味があることが明らかにされました。また、1995年、北川が、さらに、新しい形のサポニンが葉にあり、抗炎症などの作用があると発表しています。 

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